飼い猫から巣立つ猫

ふわふわとした子猫は、いつの間にか大きくたくましく成長していた。
ずっと手の届く範囲で遊んでいるつもり、自分で管理できる範囲の公園で遊んでいくつもりだったけど、どうもそうもいかなくなった。
一緒に遊んでいたはずの人がいなくなる、飼い猫に噛まれる。
もう限界だった。
公園ごと、猫ごと、全て終わりにしたかった。
もしくは、もっと近くに来てほしかった。
でも気がついたら猫は、公園の外に沢山の飼い主がいて、その方向を向いていた。
終らせるならここを出る。ここの外で生きていく。
その決意は固かった。
一人で公園から離れる。
公園は仲間だった奴が管理をする。
こんなはずじゃなかった。

手放すと一気に襲ってくる沢山のものがある。
より一層しんどくなるから踏ん張ってほしかった。
けど、もうその状態でいてくれるほど、
猫は弱くもなかった。

彼が育てたものは、強く大きく育った。
今は不本意でも、それがどれだけ素晴らしいことか。
誇りであると気付いてほしいと思う。
もしくは、もっといいものを作ってやる、でもいい。
まだ、生まれてくるものはあるはず。


去年の夏、
「本当に自分の楽曲を広げてくれたのは彼女の魅力で、そのうちに自分の手元を離れて、沢山の人に応援してもらえる存在になる。それくらいの器がある。」
と彼はTIFでのZeppTokyoでのステージをUstで流しながら語っていました。
またまた、と思いながらも、不器用ながら愛情の溢れるその言葉に頷いていたけれど、思っていたより早く、思っていた形ではなく、その時が来てしまいました。
いつか手から離す気があったとしても、もっといい形で迎えて欲しかったです。
でも、遅かれ早かれこうなったのかもしれません。

健やかになれるのかは分かりません。
健やかになるという意志がなければなれないでしょう。
ただ、彼の中のエネルギーはそう簡単に絶えるものではないと思います。
今の名でも、今の場所でもないところになるかもしれませんが、また生み出してくれることを信じています。

彼女を世に生み出してくれたことに対して、
沢山の楽曲を生み出してくれたことに対して、
感謝の気持ちしかありません。

いずこねこという唯一無二のアイドルを作り、
育ててくれてありがとうございます。
素晴らしい楽曲を与えてくれてありがとうございます。
これからは1つ大きな壁を越え、新たな場所へ、大きな場所へと向かうでしょう。
私は彼女の向かう方へついていきます。