さよならとありがとうと。

私の父の告別式は母の誕生日だった。
誕生日を迎えるまで我慢した、のかもしれないけど、あまりにも酷だった。
母は今でも父の話は基本的にしない。
最期まで、最期のあとまで、きっと何かの復讐でも受けている気持ちだと思う。
いろんなことに我慢して、我慢して、我慢して、結果ひとり義母の元に残されて生きている。
今は趣味があるから趣味を気兼ねなく楽しみ、友達と食事に出たりしているけど、消化しきれているのかは分からない。
タラレバを並べるのは救いがないから、今を今で処理していくのみなんだけど、それも簡単な話じゃない。
一時は本当に病んでいたし、かわいそうなことは確かだったけど、私も病んでいたから本当に母が嫌いだった。
状況を考えれば絶望しかないことは分かっていても、私は父が好きだったから、恨みを積もらせている母が嫌だった。
ぶつかってぶつかって、理解しあえたりしたわけではないけど、それぞれに思うことがあるということは分かったと思う。
親子だから分かりあえるなんてことはない。
性格が似ているのに価値観は違うから面倒だ。
一人暮らしをして、距離が取れたから少しお互い楽に付き合えてる。趣味を共有しているしたまに帰るけど、実家に泊まったことはない。
それくらいがちょうどいい。
そんな母の誕生日です。
もう還暦。
60歳になんてなりたくないと思っているだろうし、赤いものをあげるのも嫌かなと思って何もまだ用意してない。
孫を見せることは出来ないけど、お婆ちゃんにはなりたくないと言っているしまぁいいのかな。
長生きしたいとは言わない人だから、長生きしてくれとも言わないけど、穏やかに生きていてくれたらいいなと思う。